【最新】PISAって何? 日本の順位と今後の影響を解説
世田谷区・目黒区の英語学童「インターナショナル・アフタースクール コトリバ駒沢校」です!
今回はPISAという国際的な学力調査について扱います。
以前、日本の子どもたちの「学力低下」が問題視されていた時期がありました。
特に「ゆとり教育」がこの問題の主犯であるという議論が巻き起こり、その中で日本の学力低下の証拠としてしばしば引き合いに出されたのが、国際学習到達度評価(PISA)での日本のスコアの落ち込みでした。今回の記事は2022年最新のPISAの結果を解説し、今後の日本における教育の在り方について触れていきたいと思います。
目次
PISAとは?
PISAは、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に3年ごとに行われる、15歳の生徒を対象とした国際的な学力評価試験です。この試験では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3つの領域を重視し、義務教育で学んだ知識を実際の生活でどれだけ応用できるかを測定します。
日本の「新学習指導要領」にも影響を及ぼすほど重要視されているPISAとは、具体的にどのような試験なのでしょうか?
PISAは、全世界で行われる学力の測定と評価のための調査であり、「Programme for International Student Assessment」の頭文字を取ってPISAと呼ばれています。主にOECD加盟国の15歳の生徒を対象にしています。日本では2000年に初めて導入され、以降3年おきに行われています。最新の第7回調査(数学分野)は、当初2021年に予定されていましたが、COVID-19の影響で2022年に延期されています。
引用:国立教育政策研究所、文部科学省 国際学力調査(PISA、TIMSS)
世界中で参加されているPISA
2022年の調査では、世界81か国から約69万人の生徒が参加しました。日本では、高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校1年生の183校、約6,000人が調査に参加しました。
年 | OECD加盟 | OECD非加盟 | 合計 |
2000年 | 28か国 | 4か国 | 32か国 |
2003年 | 30か国 | 11か国・地域 | 41か国・地域 |
2006年 | 30か国 | 27か国・地域 | 57か国・地域 |
2009年 | 34か国 | 31か国・地域 | 65か国・地域 |
2012年 | 34か国 | 31か国・地域 | 65か国・地域 |
2015年 | 35か国 | 37か国・地域 | 72か国・地域 |
2018年 | 37か国 | 42か国・地域 | 79か国・地域 |
2022年 | 37か国 | 44か国・地域 | 81か国・地域 |
PISAの試験内容は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3つの分野に焦点を当てています。試験では、学校で学んだ基礎知識だけでなく、それを実生活で応用する能力も問われます。そのため、思考力や応用力を測る自由記述式の問題が多く出題されるのが特徴です。
2022年の調査では、創造的思考を測るクリエイティブ・シンキング調査が新たに導入されました。また、2025年にはデジタル社会での学習能力を測る調査も計画されています。ただし、日本は2018年以降、これらの革新的な分野への参加を見送っています。
調査の対象となるのは、15歳3か月以上16歳2か月以下の生徒で、日本では主に高等学校1年生が該当します。また、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの評価に加えて、生徒の学習環境や生活背景に関する情報も収集されます。これにより、各国の生徒の実態と教育の実態の違いを比較することが可能になります。
2022年PISAにおける日本の結果
覚えている方も多いかと思いますが、2018年のPISAでは、日本の読解力の低下が話題になりました。全参加国・地域内での日本の読解力の順位が8位から15位に下がったのです。
では今回はどうだったか?
2022年のPISAの結果では、日本は読解力で3位、数学的リテラシーで5位、科学的リテラシーで2位と、いずれもOECD平均を大きく上回る成績を収めました。
ただし、この結果は、COVID-19による学校閉鎖期間が日本は他国に比べ短かったことが影響している可能性があることが一部で指摘されています。
東京大学の教育学教授である小林隆氏は、「PISAの結果は単に学力の高低を示すだけでなく、教育システム全体の有効性を評価するための重要な指標である。特に、応用力や問題解決能力の評価は、21世紀のスキルを育成する上で欠かせない」と述べています(出典:日本経済新聞)。
PISAは学力だけでなく、学びを実生活に応用する力を測ることに重点を置いた国際的な評価システムであり、その結果は教育政策の見直しに大きな影響を与えていると言えそうです。
PISAの結果を活用した他国の事例
PISAの結果に基づいて教育政策を見直した例として、フィンランドを挙げることができます。フィンランドは2000年のPISA調査で生徒の学習成績が非常に高いことが明らかになりましたが、これを契機に、より生徒中心の教育アプローチを強化しました。
その後も継続的にPISAで高い成績を維持しており、教育政策の見直しが教育成果に寄与していることが示されています(出典:OECD)。
PISAの結果が学習指導要領に影響を与えるってホント?
国際的な試験であるPISAの結果は日本の教育に影響を与えるのでしょうか。
2003年PISA調査でも日本の読解力分野の不振が話題となりました。参加41カ国中14位で、2000年の調査における8位から14位へと順位が大幅に下がったのです。
この順位下落の要因の一つには、日本の子どもたちの自由記述問題への無回答率が高かったことが関係すると分析されています。
このような結果を受け、2005年12月には読解力向上プログラムがはじまりました。書かれたテキストを読むだけではなく、理解・利用・塾考する能力の育成が目標とされます。このようにPISAの結果を課題として、文科省によってPISA型「読解力」の育成が推進されるようになりました。
PISAとプログラミング教育との関連
2022年に実施するPISAの数学に関するテストでは、論理的な考え方や問題解決能力を重視する「コンピューテーショナル・シンキング」に関する問題が追加されました。
コンピュータサイエンス分野に関する学力が重視される国際的な調査はPISAが初となっています。
このような動きにより、プログラミングを含むコンピュータサイエンス分野の学力が、今後、国際的にもさらに重視されていく可能性があります。
今回は2022年最新のPISAの結果をお伝えしました!
PISAから分かる日本の教育の現状もありますので、ぜひ皆さんも今後の動向をチェックしてみてくださいね!
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